IT技術の進化により、消費者はスマホ一つでネットから商品が買えるという非常に便利な時代になりネットショッピングの利用者は2017年から急激に増加しています。同時に宅配ボックスは戸建てに限らず賃貸のアパートやマンションの物件を選定する際にも重要視される設備の一つとなってきました。単身者でもファミリー層でも人気設備となっており、物件選びに大きな影響を与える設備となってきています。
出典:総務省統計局家計消費状況調査ネットショッピングの状況について
不動産ポータルサイトに掲載されている調査結果をみると、賃貸で人気のある物件は駅から近いなどの立地条件、築年数、付帯されている設備によって大きく変わります。立地条件や築年数は変えることはできませんが、付帯設備は改修・導入することによって物件自体の価値を高められる可能性はあります。
全国賃貸住宅新聞 の2023年「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」調査アンケートによれば、宅配ボックスは単身者向け物件では4位、ファミリー向け物件では5位という調査結果も発表されていますので、単身者・ファミリー層共にネットショッピングを頻繁に利用する人にとっては宅配ボックスの有無しは物件選びに大きなポイントになるでしょう。
出典:全国賃貸住宅新聞 「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる2023年」
全国賃貸新聞住宅アンケート調査「2023年に入って部屋探しの顧客の希望が大幅に増えた設備ランキング」によると宅配ボックスは3位に入っています。宅配ボックスは日中働く20~40代の会社員などからの引き合いが多いとのことで、単身者・ファミリー層共に需要が高いですが単身者の需要の方が安定して高いということが調査結果から伺えます。
また、2021年に発生したパンデミック対策でネットショッピングの利用者が増加・定着し、宅配ボックスが備わっていた物件から転居する人が新居にも宅配ボックスを求めるケースや自宅に人がいない時間が長い傾向にあることが宅配ボックスを必要とする理由の一つという調査結果も出ています。
出典:全国賃貸住宅新聞 「2023年に入って部屋探しの顧客の希望が大幅に増えた設備ランキング」
宅配ボックスの設置が入居者に与えるメリットは?
アパート・マンションの賃貸物件に宅配ボックスが備わっていれば、入居者がそれぞれ抱えている悩みを解決するアイテムにもなります。
- 小さな子供が居て荷物が届いても対応出来ない、インターホンを押してもらいたくない
- 宅配便の受け取り時間(時間指定)を気にしたくない
- 都度玄関に出ていくのが面倒臭い
- 玄関前への「置き配」は盗難や不在が分かってしまうため防犯面で宅配ボックスが欲しい
- 再配達依頼の手続きが面倒臭い
宅配ボックスは手が離せない時や不在時に家主の代わりに荷物を受け取ってくれるため時間の有効活用、女性やお年寄りの場合には防犯対策、また対面受け取りする必要がないため感染症対策としてなど、安全面や防犯面でもメリットがあります。
アパート・マンション向け宅配ボックスの上手な選び方
アパート・マンション向け宅配ボックスの選定ポイント
ここまで宅配ボックスが物件選びに与える影響を紹介しました。ここからはアパート・マンション用の宅配ボックスにはどのようなものがあるのか、設置には何が必要なのか?ボックスは何個設置したら良いのか購入前の選定ポイントを順にご紹介します。
アパート・マンション向け宅配ボックスのサイズについて
アパート・マンション向けの宅配ボックスのサイズは小型ボックス・中型ボックス・大型ボックス・超大型ボックスなどサイズが豊富にあります。すべて同じサイズに揃える必要はなくそれぞれを組み合わせて構成していくのが一般的です。
メーカーによっては郵便ポストと組み合わせることが可能な宅配ボックスもありますので現状設置してあるポストが古く大型メール便などに対応していない場合などは新しく宅配ボックスとセットしたタイプに置き換えるなど、設置場所や戸数に合わせて構成を検討していくのもよいでしょう。
カギの種類と使い方
アパート・マンション向けの宅配ボックスのカギタイプは、大きく分けて「機械式」と「電気式」の2種類があります。
「機械式」タイプの宅配ボックス
機械式のカギは暗証番号式の「ダイヤル錠」や「ボタン錠」で電気を使用せず施錠・解錠するタイプです。配達員が暗証番号を設定し、その番号を不在通知書に記載し、受取人の郵便ポストに投函します。受取人は不在通知書に記載された暗証番号を入力して解錠し、荷物を取り出します。
電気配線工事が不要なためランニングコストも基本的にはかからず、導入コストも低いため小・中規模向けで多く設置されています。
「電気式」タイプの宅配ボックス
電気を使用してコンピュータ制御するタイプで、「タッチパネル」や「カードキー」などを使って施錠・解錠するタイプです。コールセンターで24時間管理しているタイプや荷物が届くとスマホにメールが届くタイプなどさまざまなタイプがあります。セキュリティー面が高く盗難の心配が低い反面、導入コストが高く、電気代や管理費などのランニングコストが別途発生します。
荷物が届いたら押印は必要?
アパート・マンションに設置してある宅配ボックスで荷物を受け取るには対面受け取り同様に基本的には印鑑はあった方が良いでしょう。
押印方法も各メーカー異なり宅配ドライバーが預け入れ時に押印できるように宅配ボックス内すべてに印鑑を設置しておくタイプ、ワンプッシュで押印できる押印機能が搭載された宅配ボックスなどがあります。タッチパネルなどの電気式タイプでは宅配ドライバーが宅配ボックスへ預け入れ時に完了を証明するレシートが発行される押印が必要ない宅配ボックスもあります。
押印には印鑑が必要になるため宅配ボックスに印鑑が付属しているのか、別途お客様側で用意する必要があるのか事前に確認が必要です。また、宅配ボックスメーカーごとに印鑑型式指定などもありますので、指定外の印鑑を購入してしまいセットできないなどのミスが無いように気を付けてください。
閉じ込め対策用の非常脱出機構は備わっているか
大型サイズの宅配ボックスは下側に設置されることが多いため小さな子供が、宅配ボックスの中に閉じ込められた場合のトラブルを想定して、「非常脱出装置」が付いた宅配ボックスもあります。非常脱出装置のボタンを中から押すことで扉を解錠することができるため小さな子供が多いアパート・マンションでは万が一に備えてあると便利な機能です。
宅配ボックスの数はアパート・マンションの全戸数に対してどのくらい必要か
宅配ボックスは住居人のライフスタイルによりネットショッピングの使用頻度が異なるため部屋戸数すべてに対して設置する必要はありません。一般的にはアパート・マンションの総戸数に対して20%~30%程度の設置が目安とされています。しかし、2021年のパンデミックよりネットショッピングを利用する人が急激に増えたこと、再配達削減に向けた取り組み対策、共働き世帯が多かったり小さなお子さんが多く住んでいる場所では~50%を目安にすると既入居者の方々への好感度アップや入居率改善に向けての大きなポイント施策となります。
<戸数に対しての設置目安例>
- 6戸の場合、宅配ボックスの設置数目安:2個~3個
- 8戸の場合、宅配ボックスの設置数目安:2個~4個
- 12戸の場合、宅配ボックスの設置数目安:3個~6個
また、お仕事の都合などで留守や不在が多い住居人の場合は長期間荷物を入れたまま放置してしまい、他の住居人が宅配ボックスを利用できなくなるというケースもよくあります。このようなケースを防ぐためにも宅配ボックスの利用規約を作成するなどし、周知徹底させることが住居人の方々にとっても重要です。
最後に購入する前に確認しておくポイント
宅配ボックスを設置する場所について
アパート・マンション向け宅配ボックスの種類や構造を把握したら設置する場所の確認も忘れずにしておきましょう。一般的には中規模・大規模マンションではエントランスや集合ポスト近くに設置することが多いです。エントランスやポストの近くは住居人の方々が日々通るため荷物の確認がしやすく最適な場所とされています。
小規模のアパートでは設置スペースが限定されてしまうことが多く、オートロックの集合玄関前、集合ポスト下や階段下のデッドスペースなどを有効活用して設置されている場合が多いです。また余分なスペースが少ない賃貸物件では雨風に当たる半屋外スペースや庇下への設置となってしまうこともあるため、宅配ボックスは「屋内用」ではなく「屋外対応」の機種を選びましょう。
駐輪場や人通りが少ない場所への設置は防犯面からも避けた方が良さそうです。
昨今の小規模マンションやアパートでもオートロックが標準採用という共同住宅も多く、玄関入り口がオートロックエントランスとなっている場合は宅配ボックスの設置場所は必然と庇下などの屋外設置となってしまう場合もあります。こうした場合は、雨水の侵入を防ぐたにも屋外設置に対応できる宅配ボックスを選定しましょう。
アパート・マンション向けの宅配ボックスは戸建て向けの宅配ボックス比べると発売しているメーカーは少ないですが、アパートやマンション向けへの機種選定方法は設置場所からのサイズ選びから始まり、どの大きさの宅配ボックスを何個組み合わせるかなど初めて購入される方にとっては手間がかかります。
エスディエスでは買って後悔する前に最適な宅配ボックスをご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。